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2007年9月10日 (月)

門獣としてのライオン類

神聖なものに直接付随するようなものではなく、宮殿や神殿、都市や城塞という一定の領域を守護するかのように設置された2体1対の神獣も存在します。

時代はずっと下がりますが、トルコのボアズカレ(かつてのヒッタイトの都ハットゥシャ)に残る獅子門(BC14世紀)や、そのボアズカレに近いアラジャホユックのスフィンクス門(BC14世紀)が「獅子」(荒俣宏 集英社 2000年)という本に紹介されています。

写真を見ると、ボアズカレの獅子門は左右の門柱に直接ライオンが浮彫りにされています。

一方、アラジャホユックのスフィンクス門は、現存する姿としては門の体をなしていませんが、通路を挟んでスフィンクスが対になっています。

ギリシアのミケーネにも獅子門BC13世紀)と呼ばれる遺構があります。ただし、ここではライオンは門を挟んで設置されるのではなく、門の上部に2体1対で表現されています。

Photo ギザの三大ピラミッドのそばにあるスフィンクスは有名ですが、あれは単体です。対を成す相方がいた痕跡が残っているという話も聞きません。

しかし、もちろんエジプトにも2体1対の形式は存在していて、エジプトを旅したGingerさんによると、ハトシェプスト女王葬祭神殿(BC15世紀)の入口の階段には、第1の階段に対になった獅子のレリーフが、第2の階段には対になったグリフィン像があるそうです(掲載した3枚の写真もGingerさんの撮影)。

Photo_2

ライオンがらみでなければ、ペルセポリスの万国の門にある有翼人面の牛(ラマス)の巨大な像(BC5世紀)がよく知られているでしょう。

以上のように、古代オリエントでは、紀元前数千年という古い時代から、2体1対で神聖な存在や場所を守る神獣が広く見られたことがわかります。

私は古代オリエントの文化や歴史・地理に疎いので、例示した資料の出土地や時代による特徴、相互間の関係性などについて考察できませんが、何しろ、地域的にも時代的にも広範であることだけは示せたのではないかと思います。

Photo_3

敢えて言うならば、神聖なものに直接付随するライオン像は神殿狛犬に、一定の場所に対して設置されるライオン像は参道狛犬に、なぞらえることが出来るでしょう。

そして、神殿狛犬が先行し、後に参道狛犬が広まっていくように、神聖なものに直接付随するライオン像の方が一定の場所に対して設置されるライオン像よりも先行しているようにも見えます。

偶然の一致でしょうが、人間の意識のあり方として興味深いことに思えます。

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コメント

【liondogさんへ】おみやげを持ってまいりました

アカデミックな香りのするサイトに使用していただきありがとうございます。
今度は南米に行ってきました。
その際、ペルーはクスコで狛犬ならぬ『狛牛』を発見。
画像掲示板が無くなった今、他に連絡手段がなくなりましたのでここに紹介するものです。
(このコメントは消していただいてかまいません)
狛犬の流れをくむものとは言い難く、貴サイトの趣旨とたがうかとも思いますが、
番外としてでも使えるものでしたらご自由に使用していただいてけっこうです。

『プカラ』『トリート・デ・プカラ』で検索に引っかかりますが、現地の人は
『トロ・デ・プカラ』とも呼んでおりました。
リマでも見かけましたが、クスコの町には特に多く、ほぼ全ての民家の屋根に
これが飾られています。厄除けなのだそうです。
(なぜか中央広場周辺では見かけませんでしたが)
クスコの町の屋根はオレンジがかった瓦が葺かれていて、
その上に一対の魔除けが置かれた様は沖縄の風景を彷彿とさせました。

牛と十字架からわかるように、スペインによる征服後の風習との事でした。
ここに5枚UPしています。4・5枚目はリマの日本人宿の飾り棚のものです。
http://red.ap.teacup.com/ginger/364.html#readmore
(上記ページはいずれ削除いたします)

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