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2007年10月13日 (土)

狛犬以前の獅子(2)

『三角縁神獣鏡』に刻まれた「獅子」の文字と図像が日本国内で見られる最古例なのか確認できませんでしたが、最初期のものであることは確かでしょう。

では、その後の様子はどうでしょうか。

さらに「獅子」の痕跡を探して見ます。

時代が下がりますが、「獅噛式環頭」が挙げられます。

これは、剣の柄頭を飾るものですが、楕円の環の中に牙をむき出した獅子の顔が図案化されています。

環に獅子が噛みついていると見て、この名で呼ばれます。

6世紀末から7世紀前半の遺物で、全国で30例近く、主に古墳から出土しています。

唐の長安の大明宮跡から出土した類例の存在から、中国から百済を経由して伝わったものではないかと言われているようです。

その代表例であり、とりわけ興味深いものが、島根県の御崎山古墳(6世紀)から出土したものです。

この遺物の獅子は角を2本持っています。

どうやらグリフィンの流れを汲むもののようです。

これは頭部のみの獅子ですが、全身像ではどうでしょうか。

同じ6世紀の奈良県藤ノ木古墳から出土した鞍金具には、前輪の部分に獅子が透かし彫りされています。

その部分の写真を見ると、顔を上に向けて口を大きく開いた姿を側面から捉えたものになっています。

これは私が見方を間違えているのかもしれませんが、頭部に角があるように見えます。

これもグリフィンの流れを汲むのでしょうか。

手元に参照できる資料が少なく、古墳時代のものとしては、この程度しか事例が挙げられません。

参照した資料の少なさを割り引いても、それは古墳時代には「獅子」がまだそれほど多くなかったという事なのかもしれません。

いや、『三角縁神獣鏡』などは数百という数で見つかっていますから、数だけならば多いと言えますが、例が豊富とは言い難いようです。

青銅器としては銅鏡よりも日本的な銅鐸には、「獅子」は描かれていないようですし、古墳を飾る埴輪にも「獅子」のものがあるとは聞きません。

結局、獅子の図像の事例が豊富になるのは、やはり仏教の伝来以後のようです。

次は、それを見てみたいと思います。

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