« 江戸時代(1) | トップページ | 江戸時代(3) »

2008年2月 2日 (土)

江戸時代(2)

さて、この参道狛犬は、その普及の仕方で2種類に分けることが出来ます。

生産地から遠く離れた場所まで流通した広域型の狛犬と、普及範囲が特定の地域内に留まる在地型の狛犬です。

広域型としては、浪花系、出雲系の狛犬が知られています。
その名の通り浪花、すなわち大坂周辺と出雲で生産された石造狛犬で、そこから日本全国に普及していったものです。

これらの普及地域は、北前船の航路上であるということが、指摘されています。

たくさんの荷物を運ぶ船というのは、逆に空荷では浮き上がりすぎて船が安定しないという特徴があります。
そこで、そのような場合に船を安定させるために重石を載せます。
いわゆる≪バラスト≫です。
バラストがただの石ならば、荷物の量が増えて不要になれば、海などに捨てるだけですが、バラストとして石造品を積載しておけば、これを降ろす時にそれ自体を販売することができます。

そうした理由から北前船の発着地である大坂の周辺で製作された狛犬=浪花系の狛犬が、本州全体に普及したという説があります。
出雲も中途の寄港地として同様の背景があると言えます。

浪花系狛犬のバリエーションについては「大阪狛犬の謎」(小寺慶昭 ナカニシヤ出版 2003年11月30日)に詳しく考察されていますが、突然ガラリとパターンが変わるということはなく、基本的にはマイナーチェンジの繰り返しという印象を受けます。

これに対し、出雲系狛犬は前脚をかがめ尻を高く上げた、俗に「出雲狛犬」と呼ばれるものと、蹲踞の姿勢で太い縦尾を持つ、俗に「丹後狛犬」と呼ばれるものの2種類があります。

浪花系や出雲系には及ばないものの、一定以上の地域に普及したものが他にもあります。

俗に「尾道狛犬」と言われる両前足を玉に乗せた姿の狛犬は、瀬戸内海周辺、本州側にも四国側にも広く見られます。
実見していませんが、新潟や北海道にもあるようです。

また、私が「江戸狛犬」や「江戸唐獅子」と呼んでいる狛犬は、江戸のみならず関東平野一帯に広く見られます。

一方の在地型の狛犬は、まだ全国を歩き尽くしてはいないので、どのくらいあるのかわかりませんが、いくつかその存在が知られています。
日本参道狛犬研究会の「参道狛犬大研究」では、江戸時代までさかのぼるものとしては秋田狛犬仙台狛犬肥前狛犬などを挙げています。
また「京都狛犬巡り」では、萩狛犬白川狛犬(京都)の存在を指摘しています。

このうち肥前狛犬や仙台狛犬は独自性の高いものですが、秋田狛犬や萩狛犬などは、上記の広域型の狛犬の普及後にそれを参照して生まれたものではないかと考えています。
他の地域でもそうしたものが多いように思えます。

« 江戸時代(1) | トップページ | 江戸時代(3) »

コメント

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

« 江戸時代(1) | トップページ | 江戸時代(3) »