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2008年6月 2日 (月)

狛犬は犬か―その1

≪狛犬≫は、「犬」の文字が使われているため、犬と混同されがちです。
そうした事例として、こういう話を取り上げたこともあります。

私自身は、ここまで、ごく曖昧に≪こまいぬ≫とは架空の生物で、「≪高麗≫すなわち外国の≪犬≫のような動物」を意味している、という把握の上に立ってきたわけですが、当然、狛犬の起源説の中にも、≪犬≫を字義通りにとって、狛犬は犬であるとするものも存在します。

孫引きになりますが、江戸時代の文化元年(1804)にまとめられた「狛犬考」という書物に、白井宗因の説として

高麗犬は此犬也、其義見記、王室今尚有銅犬、而諸社階除、置獅子者非也

とか、

コマイヌハ、高麗犬也、然ルヲ獅子ノ形ニ非也

という文章が出てきます。
つまり、狛犬は犬であって、獅子の姿に作るのは間違いだ、というわけです。

白井宗因は江戸時代初期の上方の神道家で、「神社便覧」や「神社啓蒙」といった著書があるそうです。
この人は、強い廃仏思想の持ち主だったようです。

白井宗因自身の原典にあたっていないので、前後の文脈は不明です。
しかし、白井宗因の廃仏思想をもっていたということから判断すると、この「狛犬=犬≠獅子」説は、神道と仏教を切り離すため、仏教との関係性が深い獅子と狛犬を無関係のものとしたいという意志が込められているように感じられます。

白井宗因が何を根拠としているのかわかりませんが、「狛犬考」でも否定的な取り上げ方をされており、牽強付会な説のように思われます。

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