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2008年7月11日 (金)

獅子舞の源流

≪獅子舞≫とは、演者が≪獅子≫という動物を模した≪獅子頭≫という仮面の一種を被って舞い踊る行為です。

このような、人間が動物に扮して踊るという行為、あるいは仮面や頭を用いて他者に扮して踊るという行為は、地球上のあらゆる場所で見ることが出来るといっていいでしょう。
日本でも、縄文時代の遺跡から多くの仮面が出土していますから、古来そうした行為が存在していたことが想像できます。

しかし、こと≪獅子舞≫に関して言えば、≪獅子≫=ライオンが日本には生息していない以上、外来の文化であること疑いようはありません。
そこで≪獅子舞≫は、伎楽の一部として中国から伝来したと考えるのが一般的です。

しかし、その中国にも≪獅子≫=ライオンは生息していません。
また、伎楽もその起源はいわゆる西域だと考えられています。

かつてのアジアライオンの生息地は、インドから西アジアの一帯ですから、当然、その辺りに獅子舞の源流があると見ていいのでしょう。
一般的には、現在もある種の獅子舞が存在しているインドが、起源だと考えられているようです。

ただ、イスラム教成立以前の西アジアにまったく獅子舞がなかったのかどうかは、よくわかりません。
偶像崇拝を嫌うイスラム教によって廃絶された可能性はあるようにも思えるのですが、調べがつきませんでした。

「狛犬事典」の中で上杉千郷先生は、古代オリエントの王たちがライオン狩りし、捕らえたライオンを調教した名残が獅子舞だとしておられます。
ただ、古代オリエントにおいて獅子舞の痕跡があるのかどうかには言及はありません。

また、アフリカにもライオンを模した踊りは存在しそうですが、狛犬とは距離がありそうなので、十分調べておらず、確認できませんでした。

ちなみに、日本人がイメージするような形式の獅子舞が存在するのはユーラシア大陸の中央アジア以東のようです。
そこに共通するのは、インドを除いて実際にはライオンが生息していない地域であるという点と、仏教が伝播した地域であるという点です。

つまり、現実のライオンではなく、信仰と結びついた神格化された≪獅子≫であるということが、獅子舞の普及と発展に寄与したということなのでしょう。

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