« 獅子頭と『狛犬』――その2 | トップページ | 獅子舞の全身像 »

2008年7月26日 (土)

獅子頭と『狛犬』――その3

形状ではありませんが、獅子頭の彩色を見ると、『狛犬』と異なり赤が大胆に用いられているという特徴があります。
狛犬でも、口の中や鼻の部分に赤い彩色が残っているものがあり、その部分を赤くしていたのであろうことはわかります。
しかし獅子頭ではその他に、目の周りや耳の内側にも赤が使われています。

伊奈冨神社・津波倉神社などは、むしろ赤が全体の基調をなす色となっています。

さて、獅子頭と『狛犬』で、もっともよく似ている部分は上唇から鼻にかけての形状ではないかと思われます。

つまり、それは

  • 上唇が大きくうねっている。
  • 上唇の真中でそのうねりが角度をつけてぶつかっていて、そこから唇が割れているような感じになっている。
  • その上唇が割れている先端部分の真上に正面から見てスペードもしくはクローバー型の鼻が乗っている。

というものです。

その結果、当然ながら鼻が顔全体の一番前に出ている格好になります。

眼の形状の時と同様、獅子頭の方が表現が大袈裟になっていますが、獅子頭が口を開閉する以上、それはおかしなことではないでしょう。

この上唇から鼻にかけての形状は、獅子頭では風流系獅子の一部を除けば、ほぼ全て見られますし、調度の『狛犬』、つまり神殿狛犬もそれは同様のようです。

これが猛獣を表すお決まりの表現方法なのでしょう。

そう考えると、花尾八幡宮の獅子頭は、非常に特異なものと言えます。

口先が割れたり捲れ上がったりすることなく、なかばクチバシ状に前に突き出し、鼻が後ろに下がっているのは、この獅子頭だけです。
ちなみに、リンク先には獅子頭の写真が2点ありますが、目の釣り上がった方がここで取り上げている元亨二年(1322)銘のもので、目の丸いもう一つはこれと対とされる無銘のものです。
無銘のものの方は、やや唇が捲れ上がっていますが、鼻が後にある点は同じです。

こうして明らかに違っていると、角の問題同様、これは同じ獅子頭としてよいのか、考えてしまいます。
≪獅子≫舞とは別の舞の頭なのではないかという気がしてきます。

それとも、それは単なる考え過ぎで、他とは違う系列の工人が作ったというだけのことなのでしょうか。

ちなみに、角のことで触れた伊奈冨神社のものも、この花尾八幡宮のものも、銘文には奉納した年銘はあるものの、これが獅子頭なのか、そうではないのかなどの明記はありません。

残念なことです。

« 獅子頭と『狛犬』――その2 | トップページ | 獅子舞の全身像 »

コメント

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

« 獅子頭と『狛犬』――その2 | トップページ | 獅子舞の全身像 »